「それはまるでトルエン入りキャンディのような。」
一生に一度きりのことをしようと思った
喫茶店で合席になったひとにそれを話した
「面白そうだな」
静かな強い燃える焔の目をした彼は真剣にそういった
それなら一緒にやるか?と持ちかけてみれば頷く
これが恋か、と初めて知った気分だった
「いいのか?人生まだ長いだろ?」
「長く意味もなくすごすなどそれこそ無価値」
そして彼は真田幸村と名乗った
今俺の隣に居る
例えばこの海の向こうに何があるのかとか
例えばこの空の向こうに何があるのかとか
なんでこの世界にはここしかないのかとか
そういうとても簡単なことを俺たちは知ることが出来ない
だったら実際に体験するしかないじゃねえか
青い青い空が俺と幸村を嘲う
戦車をジャックして港へ向かい
空母をジャックして海へ出る
全てが青い世界
「まるで、おぬしのようだな」
「Ha、それはどうも」
上空にはきっと軍事衛星
俺たちをピンポイントで狙ってる
ヘリが青い空の向こうに浮いている
知ってるさ逃げ道なんてないってのも本当にあそこ以外に何もないのも
でもそれでも
あのまま疑問を忘れて生きてくよりもリアルな体験をして一瞬で蒸発するほうが俺には合っていた
ああそうかそれは
幸村もそうなのだろう
「最後の晩餐、ってか」
「悪くはない」
とっときのシャンパンに沢山のチョコレイトとクッキー
二人だけで乾杯
二人だけに乾杯
そして俺たちは初めてキスを交わす
「Good Night,Darling」
「ああ、しばし眠ろうか」
手を繋いで見る夢はいいものだろう
さあ眠ろう残酷な世界など見捨ててやるさ
光 が 一閃
海 が 沸騰
ふたり は … …
「Are you ready!」
「いざ、参らん!」
一夜の夢か
「Ha!真田幸村、見つけたぜ!」
「独眼竜政宗殿!お手合わせ願おう!」
永遠の未来か
それ全て些末な事だと
今年休止しちゃった某虹バンドのとある曲をいんすぱいあーざねくすと。
二人ともきっと根っこは衝動的な人なんじゃないかなあと。
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